Apache HTTP サーバ バージョン 2.0
This document refers to the 2.0 version of Apache httpd, which is no longer maintained. Upgrade, and refer to the current version of httpd instead, documented at:
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suEXEC 機能により、Apache ユーザは Web サーバを実行しているユーザ ID とは 異なるユーザ ID で CGI プログラムや SSI プログラムを実行することができます。CGI プログラムまたは SSI プログラムを実行する場合、通常は web サーバと同じユーザで実行されます。
適切に使用すると、この機能によりユーザが個別の CGI や SSI プログラムを開発し実行することで生じるセキュリティ上の危険を、 かなり減らすことができます。しかし、suEXEC の設定が不適切だと、 多くの問題が生じ、あなたのコンピュータに新しいセキュリティホールを 作ってしまう可能性があります。あなたが setuid root されたプログラムと、それらから生じるセキュリティ上の問題の管理に 詳しくないようなら、suEXEC の使用を検討しないように強く推奨します。
この文書の先頭に飛ぶ前に、Apache グループとこの文書での仮定を知っておくべきでしょう。
第 1 に、あなたが setuid と setgid 操作が可能な UNIX 由来のオペレーティングシステムを使っていることを想定しています。 これは、すべてのコマンド例にあてはまります。 その他のプラットホームでは、もし suEXEC がサポートされていたとしても設定は異なるかもしれません。
第 2 に、あなたが使用中のコンピュータの セキュリティに関する基本的な概念と、それらの管理について詳しいことを 想定しています。これは、setuid/setgid 操作、あなたのシステム上でのその操作による様々な効果、 セキュリティレベルについてあなたが理解しているということを含みます。
第 3 に、改造されていない suEXEC コードの使用を想定しています。suEXEC のコードは、 多くのベータテスタだけでなく、開発者によっても注意深く精査され テストされています。それらの注意により、簡潔で信頼できる安全な コードの基盤が保証されます。このコードを改変することで、 予期されない問題や新しいセキュリティ上の危険が生じることがあります。 セキュリティプログラミングの詳細に通じていて、 今後の検討のために成果を Apache グループと共有しようと思うのでなければ、suEXEC コードは変えないことを 強く推奨します。
第 4 に、これが最後ですが、suEXEC を Apache のデフォルトインストールには含めないことが Apache グループで決定されています。これは、suEXEC の設定には管理者の詳細にわたる慎重な注意が必要だからです。 suEXEC の様々な設定について検討が終われば、管理者は suEXEC を通常のインストール方法でインストールすることができます。 これらの設定値は、suEXEC 機能の使用中にシステムセキュリティを適切に保つために、 管理者によって慎重に決定され指定されることが必要です。 この詳細な手順により、Apache グループは、suEXEC のインストールについて、注意深く十分に検討してそれを使用することを 決定した場合に限っていただきたいと考えています。
それでも進みますか? よろしい。では、先へ進みましょう!
suEXEC の設定とインストールを始める前に、 まず実装しようとしているセキュリティモデルについて論じておきます。 それには、suEXEC の内部で行なわれていること、 システムのセキュリティを保証するために警告されることを よく理解しておいた方がよいでしょう。
suEXEC は、Apache web サーバから呼び出される setuid された "wrapper" プログラムが基本となっています。設計した CGI、または SSI プログラムへの HTTP リクエストがあると、この wrapper が呼び出されます。このようなリクエストがあると、Apache はそのプログラムが実行される際のプログラム名とユーザ ID とグループ ID を指定して suEXEC wrapper を実行します。
それから、wrapper は成功または失敗を決定するため 以下の処理を行ないます。これらの状態のうち一つでも失敗した場合、 プログラムは失敗をログに記録してエラーで終了します。 そうでなければ、後の処理が続けられます。
これは、wrapper を実行しているユーザが 本当にシステムの利用者であることを保証するためです。
wrapper は適切な数の引数が与えられた場合にのみ実行されます。 適切な引数のフォーマットは Apache Web サーバに解釈されます。 適切な数の引数を受け取らなければ、攻撃をされたか あなたの Apache バイナリの suEXEC の部分が どこかおかしい可能性があります。
このユーザは wrapper 実行を許可されたユーザですか? ただ一人のユーザ (Apache ユーザ) だけが、 このプログラムの実行を許可されます。
対象の CGI, SSI プログラムが '/' から始まる、または
'..' による参照を行なっていますか? これらは許可されません。
対象のプログラムは suEXEC のドキュメントルート
(下記の --with-suexec-docroot=DIR
を参照)
内に存在しなければなりません。
対象となるユーザ名は存在していますか?
対象となるグループ名は存在していますか?
今のところ、suEXEC は root
による CGI/SSI
プログラムの実行を許可していません。
最小ユーザ ID 番号は設定時に指定されます。これは、 CGI/SSI プログラム実行を許可されるユーザ ID のとりうる最小値です。これは "system" 用のアカウントを閉め出すのに有効です。
今のところ、suEXEC は 'root' グループによる CGI/SSI プログラムの実行を許可していません。
最小グループ ID 番号は設定時に指定されます。これは、 CGI/SSI プログラム実行を許可されるグループ ID のとりうる最小値です。 これは "system" 用のグループを閉め出すのに有効です。
ここで、setuid と setgid の起動によりプログラムは対象となるユーザとグループになります。 グループアクセスリストは、 ユーザが属しているすべてのグループで初期化されます。
ディレクトリが存在しないなら、そのファイルも存在しないかもしれません。 ディレクトリに移動できないのであれば、おそらく存在もしないでしょう。
リクエストがサーバ内のものであれば、 要求されたディレクトリが suEXEC のドキュメントルート配下にありますか? リクエストが UserDir のものであれば、要求されたディレクトリが suEXEC のユーザのドキュメントルート配下にありますか? (suEXEC 設定オプション 参照)
ディレクトリを他ユーザに開放しないようにします。 所有ユーザだけがこのディレクトリの内容を改変できるようにします。
存在しなければ実行できません。
所有者以外には CGI/SSI プログラムを変更する権限は与えられません。
UID/GID を再度変更してのプログラム実行はしません
ユーザがそのファイルの所有者ですか?
suEXEC は、安全な環境変数のリスト (これらは設定時に作成されます) 内の変数として渡される安全な PATH 変数 (設定時に指定されます) を設定することで、 プロセスの環境変数をクリアします。
ここで suEXEC が終了し、対象となるプログラムが開始されます。
ここまでが suEXEC の wrapper におけるセキュリティモデルの標準的な動作です。もう少し厳重に CGI/SSI 設計についての新しい制限や規定を取り入れることもできますが、 suEXEC はセキュリティに注意して慎重に少しずつ開発されてきました。
このセキュリティモデルを用いて サーバ設定時にどのように許すことを制限するか、また、suEXEC を適切に設定するとどのようなセキュリティ上の危険を避けられるかに 関するより詳しい情報については、"とかげに注意" (Beware the Jabberwock) の章を参照してください。
ここから楽しくなります。
suEXEC
設定オプション
--enable-suexec
--enable-suexec
オプションにあわせて少なくとも一つは --with-suexec-xxxxx
オプションが指定されなければなりません。--with-suexec-bin=PATH
suexec
バイナリのパスはサーバに
ハードコードされている必要があります。デフォルトのパスを
変えたいときはこのオプションを使ってください。例えば、
--with-suexec-bin=/usr/sbin/suexec
のように。--with-suexec-caller=UID
--with-suexec-userdir=DIR
--with-suexec-docroot=DIR
--datedir
に "/htdocs"
というサフィックスをつけたものです。
"--datadir=/home/apache
" として設定すると、
suEXEC wrapper にとって "/home/apache/htdocs"
がドキュメントルートとして使われます。--with-suexec-uidmin=UID
--with-suexec-gidmin=GID
--with-suexec-logfile=FILE
--logfiledir
) に置かれます。
--with-suexec-safepath=PATH
suEXEC wrapper
のコンパイルとインストール
--enable-suexec
オプションで suEXEC 機能を有効にすると、
"make" コマンドを実行した時に suexec
のバイナリ (Apache 自体も)
が自動的に作成されます。
すべての構成要素が作成されると、それらのインストールには
make install
コマンドが実行できます。バイナリイメージの suexec
は --sbindir
オプションで指定されたディレクトリにインストールされます。
デフォルトの場所は "/usr/local/apache/sbin/suexec" です。
インストール時には root
権限が必要なので注意してください。wrapper がユーザ ID
を設定するために、所有者 root
でのセットユーザ ID
ビットをそのファイルのモードに設定しなければなりません。
安全なパーミッションを設定する
suEXEC ラッパーは、--with-suexec-caller
configure
オプションで指定した正しいユーザで起動されていることを確認しますが、
システム上でこのチェックが行なわれる前に、
suEXEC が呼ぶシステムやライブラリが脆弱である可能性は残ります。対抗策として、
一般に良い習慣ともされいますが、
ファイルシステムパーミッションを使って
Apache の実行時のグループのみが suEXEC を実行できるように
するのが良いでしょう。
たとえば、次のようにサーバが設定されていたとします。
User www
Group webgroup
suexec
が "/usr/local/apache2/sbin/suexec"
にインストールされていた場合、次のように設定する必要があります。
chgrp webgroup /usr/local/apache2/bin/suexec
chmod 4750 /usr/local/apache2/bin/suexec
これで Apache が実行されるグループのみが suEXEC ラッパーを実行できるということを 確証します。
起動時に、Apache は --sbindir
オプションで設定されたディレクトリで
suexec
を探します
(デフォルトは "/usr/local/apache/sbin/suexec") 。
適切に設定された suEXEC がみつかると、
エラーログに以下のメッセージが出力されます。
[notice] suEXEC mechanism enabled (wrapper: /path/to/suexec)
サーバ起動時にこのメッセージが出ない場合、 大抵はサーバが想定した場所で wrapper プログラムが見つからなかったか、 setuid root としてインストールされていないかです。
suEXEC の仕組みを使用するのが初めてで、Apache が既に動作中であれば、 Apache を kill して、再起動しなければなりません。HUP シグナルや USR1 シグナルによる単純な再起動では不十分です。
suEXEC を無効にする場合は、suexec
ファイルを削除してから
Apache を kill して再起動します。
CGI プログラムへのリクエストが suEXEC ラッパーを呼ぶのは、
SuexecUserGroup
ディレクティブを
含むバーチャルホストへのリクエストか、mod_userdir
により
処理されたリクエストの場合に限ります。
仮想ホスト:
suEXEC wrapper の使い方として、
VirtualHost
設定での
SuexecUserGroup
ディレクティブを通したものがあります。
このディレクティブをメインサーバのユーザ ID
と異なるものにすると、CGI リソースへのすべてのリクエストは、その
<VirtualHost>
で指定された User と
Group として実行されます。<VirtualHost>
でこのディレクティブが指定されていない場合、
メインサーバのユーザ ID が想定されます。
ユーザディレクトリ:
mod_userdir
により処理されたリクエストは
リクエストされたユーザディレクトリのユーザ ID で CGI プログラムを
実行するために suEXEC ラッパーを呼びます。
この機能を動作させるために必要なことは、CGI
をそのユーザで実行できること、そのスクリプトが上記のセキュリティ検査をパスできることです。
コンパイル
時のオプション --with-suexec-userdir
も参照してください。
suEXEC wrapper は、上記で述べた --with-suexec-logfile
オプションで指定されたファイルにログ情報を記録します。
wrapper を適切に設定、インストールできていると思う場合、
どこで迷っているか見ようとするならこのログとサーバの
エラーログを見るとよいでしょう。
注意! この章は完全ではありません。この章の最新改訂版については、 Apache グループの オンラインドキュメント版を参照してください。
サーバの設定に制限をもうける wrapper について、 いくつか興味深い点があります。suEXEC に関する "バグ" を報告する前にこれらを確認してください。
セキュリティと効率の理由から、suEXEC
の全てのリクエストは
仮想ホストへのリクエストにおける最上位のドキュメントルート内か、
ユーザディレクトリへのリクエストにおける個々のユーザの最上位の
ドキュメントルート内に残らなければなりません。
例えば、四つの仮想ホストを設定している場合、
仮想ホストの suEXEC に有利なように、メインの Apache
ドキュメント階層の外側に全ての仮想ホストのドキュメントルートを
構築する必要があります。(例は後日記載)
これを変更するのは危険です。この指定に含まれる各パスが 信頼できる ディレクトリであることを確認してください。 世界からのアクセスにより、誰かがホスト上でトロイの木馬 を実行できるようにはしたくないでしょう。
繰り返しますが、何をやろうとしているか把握せずにこれをやると 大きな問題を引き起こしかねません。 可能な限り避けてください。